いざ大島

( 筑前大島ちょこっと半周 調査小旅行記 )

 7月のある日、新聞の記事を見て、「大島」のことを知った。 宗像市の沖にある「大島」の赤字続きの市営牧場をただで貸してくれるそうだ。 但し、そう「但し」だ。何か条件がなきゃおかしいよね。 ただより高いものは無いと教わって生きてきましたから。 但し、島民の雇用に(極力)努め、草刈や清掃などの管理をして、 島北部にある「瀬山牧場」では観光客を受け入れる。 この条件をクリアすれば牧場以外の活用もできるそうな。 “大島へ行こう” … そう思った。島はいい、海も山もあるから。 メンバーへ早速メール。大島へ。島へ。「島へ」そんな雑誌があったね。

渡船場

 まずは現地調査。アイデアも何も無い。まずは現調だ。 体力の乏しいおじん集団だから、夏場はやめよう。 応募の書類提出期限は11月末だからまだ余裕はある。 だがしかし、今年の夏は長い。9月の終わりにしてまだ30度の気温なんだから。 いつ大島へ行けるのか予定が立たない。しかし、必ず秋や冬はやって来るはず。 そうじゃないと四季折々なんて言葉が使えなくなってしまう。 四季の無い日本の国は味気ない。 極端に暑いのも寒いのも嫌いだけれど、夏には秋が恋しく、冬には春が恋しい。 それが私の感覚。日本に生まれてよかった。そして決行の日は唐突に決まった。

フェリー「おおしま」

 秋晴の朝。そう、秋は来たんだ。よかった。 コラボ社員プラスα総勢8人がJR東郷駅に集合。バスで神湊フェリー乗り場へ。 いよいよ乗船だ。遠足だ。しかも船に乗って。フェリー「おおしま」で25分の船旅。 なぜか福岡市の住吉中学校の学生が大勢乗り込んでいた。 最後尾の我が8人は乗船できるのでしょうか?訊くと220人くらいの定員らしい。 ダイジョウブ=ノレマスヨ。出港すると、目の前に島があるじゃない。 大島?いえ、地島(ジノシマ)でした。地島へは鐘崎漁港から船が出ています。 上のデッキへ行って風に吹かれて遠足気分。船はたいして揺れることなく、無事大島ターミナルへ到着。 住吉中学校の生徒さん達は、登山の予定だそうです。

地島
 下船すると、宗像市大島支局の方が迎えてくれました。 最初の計画では、徒歩で山越えして北の牧場へ行くと言う、今でこそ思えば無謀な計画でしたが、 市の職員の方のご好意によりワゴン車での移動になりました。 よかった。行動立案者の私は、当初計画だとずいぶん責められていたと思います。 もともと島内には公共の移動手段がありません。 また、フェリー乗船代も大人片道500円と高額で、車を持ち込むと、とても半端な料金ではありません。 島内の移動手段や、フェリー代金は、今回の事案の懸案事項でしょう。

 さっそく車に揺られ、瀬山牧場へ。途中、岩瀬海岸そばの沖津宮遥拝所横を通りました。 この沖津宮遥拝所は、今でも女人禁制となっている沖ノ島に行けない女性達が、 沖ノ島の沖津宮を拝するために建てられたもので、ここから沖津宮を拝むそうです。
 さて、海岸を後に坂を上るとそこは、瀬山牧場です。 車を降りると眼の前に広がる青い海。そしてはるか遠くにかすかに見える沖ノ島。 牧草地の端には風車があります。写真で見たとおりの風景です。 この風景はここ大島の財産です。旧日本軍の砲台跡と風車のある風景。 ミスマッチがマッチしています。ここに、もし砲台が今でも有ったらどうでしょう。 奇妙な風景でしょうね。砲台と風車と牛の放牧。 当日は、牛のお散歩がありませんでしたが、こののどかな風景が、太平洋戦時中はどんなだったかだと想像すると複雑な思いです。

トーチカ

 市職員の方の案内で、牛舎を見たあと、御嶽山展望台へと移動しました。 この展望台からは、北九州市や、相島、小呂島などが見えました。 晴れた日には壱岐や福岡ドームなども見えるそうです。最後に大牛牧場で母子牛の飼育状況を見学して今回の視察、調査はおしまいです。

牛舎

 大島は、周囲13.5Kmの福岡県で一番大きな島です。 大島と沖ノ島で、以前は宗像郡大島村と言っていましたが、平成17年の合併により、宗像市になりました。 島内には小中学校があり、島民(約900人)の多くは漁業に従事しています。 観光スポットも多く、今回は見て回れませんでしたが、宗像大社の三宮の一つ「中津宮」があります。

さざなみ館

 調査の終わりに、温浴施設“さざなみ館”へ行って入浴、食事をして一杯飲んで帰路についたのはいつものパターンでした。

ps, ある時、人に“今度大島へ行くんだ”と言うと、どこの大島?という言葉が返ってきました。 そう、日本には沢山の「大島」があります。ざっと調べても50くらい。 だから今回の「大島」は最初、玄海灘にあるから「玄海大島」と呼ぼうとしましたが「筑前大島」と呼ぶことにしました。