門司港の日本丸

 2007年5月3日憲法記念日、日本丸が長崎から北九州市にやってきて、門司港に入港するというので見に行きました。 写真は、全部クリックすると拡大表示します。

門司港駅

 北九州市の生まれだというのに、門司港駅のいきさつについてはあまり知りません。 門司港レトロ地区という再開発が行われているようで、大型連休ということもあってか、最近の小倉駅や、 とりわけ戸畑駅のさびれようとは一線を画したにぎわいようでした。
 この写真には写ってませんが、ちょっと右側には人力車も客待ちをしていて、レトロな雰囲気を盛り上げてます。
 今年のゴールデンウィークは前半4月28~30日(金~日)、間2日おいて5月3~6日(木~日)に分かれてますが、 前半は福岡地方は全般的に好天に恵まれました。でも、雨がつき物のどんたくはこのジンクスを免れないようで、 後半はこの憲法記念日だけが好天だったようで、朝から暑いくらいの日差し。

門司港から下関を望む

 まずは、駅を出て噴水を回りこんだあたり(上の写真を撮った位置)からすぐ東側、駅の写真で言うと右側に海が見えるので、 まっすぐ桟橋のほうへ。 日差しは強いけど、風も結構も強い。海峡のパノラマを撮ろうと思ったけど、 対岸の下関は結構モヤってるし、三脚は持ってきてないし、おまけに強風で波しぶきをかぶってしまったので、断念。
日本丸が接岸する岸壁の真正面にあって、前面がなだらかな芝生になっていて絶好の撮影ポイントだという情報をもらった、 「海峡ドラマシップ」へ移動することに。
 「海峡ドラマシップ」? 横浜のなんとかいう船みたいに、退役した客船かなにかを観光用に係留しているのかと思ったら、 門司港再開発の一環の観光施設のようですね。

海峡ドラマシップ

 「海峡ドラマシップ」というサブタイトルの割には、その写真は左側の一枚だけ。 撮影スポットの芝生だとか、海側からの景色も撮ってない。この辺が素人ですね。
 右側の写真は、海峡ドラマシップへ向かう途中で振り返って、門司港レトロ展望室方面を撮ったもの。
 この時点で10:40あたり。日本丸の入港予定11:00までにはまだ間があります。 海峡ドラマシップの海側へ出てみると、見物人はまだそんなに居ないようです。
 海峡ドラマシップから海に向かって左側(南側)の駐車場に宛てられているらしいスペースのさらに向こうに、 ヘリコプターがローターを回したままで駐機しています。
 日本丸の取材のためのマスコミ関係かと思って、こんなに近くから見るチャンスもあまりないだろうと近寄ってみると、 関門海峡周辺を遊覧飛行する業者のようです。コースによって5,000~10,000円くらいかな。 ちょうどに本丸の入港にタイミングが合って、上空から撮影できるならいいけど、難しそうなのでやめました。

再び海峡を撮ってみる

 まだ時間があるので、岸壁から海峡を撮ってみます。まず、関門橋。 ちょっと離れてるので、あんまりいい絵になりませんね。相変らずモヤってるし。
 桟橋には結構釣り人の姿も。休日にはいつものことかも知れませんが、GWにも居るんですね。 GWだからこそ居るのかな。天気もいいし。風は釣りにはどうなんでしょ。
私は釣りはやらないので、良くわかりませんが。
 再びパノラマ写真に挑戦。今回は、あまり上手く撮れなかったし、三脚も持って行ってないので、 撮っただけでパノラマには編集してません。
 この位置からだと、対岸は彦島じゃなくて下関市の中心部。距離にして1.5kmといったところ。
左側の写真に見えているのは、下関市の「海峡ゆめタワー」のようです。
 こちらの左の写真に写っている白い船の左側の、斜めの屋根の建物は、 下関市立の水族館、「海響館」 … え? Googleの地図にはそう書いてあるんだけど、 「海館」じゃないの? ああ、「海館」でいいんだ。 へえー。そうですか。
 船の右側に見える森が、大連神社 … え? 赤間神社じゃないの? 先帝祭やってるはずなんですが。 「赤間神社」って書いてある地図もあるなあ。どうなってるんでしょ。
 神様の世界でも、M&Aとか持ち株会社とかがあるのかな。
 そのまた右に見える山が火の山公園で、その前に関門橋が見えます。
 そうこうしているうちに、変な船が目の前を横切っていきました。後でわかったんですが、 これは関門海峡遊覧船「ヴォイジャー」だそうな。
 紅白の幔幕とコーディネートして、ずいぶんと派手ですねえ。

日本丸入港

 そうこうしているうちに、いよいよ日本丸の登場です。 どっちから来るんだろうなあとか思ったりしましたが、長崎から回航してくるんですから、 当然玄海灘方面から来るんですね。絵になるという意味では、 周防灘方面から関門橋をくぐって来てほしかったけど、しょうがない。
 写真で見ると解りますが、このときには船体に緑色の模様が書いてあるのかと思いました。 「純白なんじゃなかったかなあ」なんて思ったりして。この写真でもわかるし、 近寄ってくれば当然解りましたが、これは緑色のタグボートなんですね。後ろにいるのも、そう。
 ただ、タグボートって、牽くんじゃないのかな。横と後ろから押してるのかな。 佐賀では、横にいても「自転車を牽く」といいますが。
 これも後でわかりましたが、タグボートは日本丸の左舷には居なかったんですね。 本当にタグボートが押すだか牽くだかして動いてたのかどうかは、解りません。
 併走してただけかも知れませんが、それにしては近すぎるように思いますね。
 だいぶ近づいてきたところで、消防船(たぶん)の歓迎放水が始まりました。 かなりの高さまで放水されているので、下手をすると先ほどの遊覧ヘリコプターまで かかってしまうんじゃないかと心配しましたが、もちろんそんなことはありません。

いよいよ接岸

 岸壁に近づいてきたので、前からの写真を撮ろうと右側に移動しかけたところ、 タグボートに動きがありました。押してる、押してる。明らかに押してます。 なんと、180度回転させようとしてるようです。
 もう、日本丸はなすがまま、きゅうりがパパ状態。正面を向いたときも、 タグボートに押されて左舷方向に傾いてます。
 それにしても、相変らずタグボートは右舷側にしか居ません。船首側のタグボートは、 牽いてるのかなあ。 陸上では、歓迎式典の消防音楽隊とカラーガールの準備も始まったようです。
 おやおや、接岸は、タグボートが日本丸を横に押して行うようです。すごい力。 甲板上に整列している実習生たちも、見えてきました。
 接岸が完了して、先ほどの消防船も近寄ってきました。 ここで、「接岸位置が変更になったため、歓迎式典会場を移動します。 セイルドリルは13時からの予定です」というアナウンス。
 変更になったのか、ズレちゃったのか知りませんが、一旦食事を兼ねて別の場所へ移動します。

第一船だまり周辺

 セイルドリルを待つ間、食事を済ませて第一船だまり周辺のレトロ地区へ。 門司港ホテルから海峡プラザを回って、国際友好記念図書館からブルーウィングもじ(跳ね橋)を渡り、 海峡ドラマシップへと戻ります。
 海峡プラザ前では大道芸の猿回しと名物バナナの叩き売りが演じられてました。
 船だまりの向こう側には、門司港レトロ展望室と国際友好記念図書館が見えます。 ロングで全景を撮ったあと、図書館だけアップにしてみました。
 ブルーウィングもじと国際友好記念図書館の近景です。 たまたま前に誰も居なかったタイミングを待って撮ったわけではなくて、 そういうシャッターチャンスが来なかったので、3枚ほど撮ってモンタージュ合成してみました。

セイルドリル

 さて、いよいよセイルドリルの開始。正式には「展帆演習」というらしい。 このセイルドリルの間、日本丸の教官がマイクで解説してくれました。 ビデオで撮ったわけではないので、録音はしてません。 記憶に残っている解説をネットで調べた情報で補完して、 書けるだけ書いてみます。嘘書いてたらごめんなさい。
 今日乗務している実習生は、まだ今年の4月から実習を開始したばかりで、展帆演習はこれで4回目だとか。 開始前に注意事項などのミーティングをやって、号令一過、いっせいに縄梯子を上ります。
 とはいっても、最初に上るのは指導員で、一番高い位置まで上って、実習生の指導をします。
 でも、上るときは命綱なし。帆桁に渡るとき、初めてハーネスを使います。これは怖いです。
 日本丸は4本マストのバーク型帆船というらしくて、たしかにマストが4本立ってます。 でも、船首部分から前に突き出している柱もマストの一種で、バウスプリットって言うんだっけか?
 立ってるマストは前から順にフォア・マスト、メインマスト、ミズンマスト、ジガーマスト。
 この中で一番高いのがメインマストで、船底から約55mと言ったと思うんですけど。 日本丸の喫水は約6mなので、「水面からは約55mの高さになります」と、確かに言いましたよね。
 まあ、教官の言い間違いというよりは、私の聞き間違いの可能性が高いですが。
 どちらにしても、50m近い高さでの作業。怖いです。四本の手足のうち、 必ず3本はロープか帆桁に当てているという、「3点支持」を徹底しているそうです。
 この状態で、帆をたたんで縛っているロープを解き、広げる準備をします。
 解き終わると、全員降りてきて、今度は帆を広げます。基本的には下から引っ張って広げますが、 2本セットになっている上側の帆桁は、帆桁を引き上げて広げます。これが大変。
 「ギリギリ」という音がしてましたが、あれはラチェットの音かな?
 普通は下から順に帆を広げるんですが、この日は風が強かったため、 一番下の帆は広げられませんでした。
 係留索とタグボートで船体を固定して帆を広げて見せてくれているんですが、 「風が強い状態で全部帆を広げると、動き出してしまいます」と、教官。そりゃそうです。 帆船ですもんね。
 最後に、実習生が舷側に並んで敬礼してくれました。実習生は80数人乗り組んでいるということでしたが、 そのうち十数人は女性だとか。この写真にも写ってますね。
 敬礼と同時に観客から拍手が沸き起こりました。立派な高級船員になってください。パチパチパチ。